建物の長期的な保全に欠かせない工事が、防水工事です。内装や外装の工事よりも馴染みが薄いかもしれないため、「何をする工事なのかわからない」と不安に感じる方もいるでしょう。
この記事では、防水工事の具体的な内容と、適切な業者の選び方について解説します。また、工事を行う際の重要な注意点も併せて紹介するので、建物の防水対策を考えている方は参考にしてください。
防水工事とは
防水工事は、建物内部に雨水などの侵入を防ぐための工事です。コンクリート製の建物の屋上で行われることが多いですが、一戸建ての住宅でも陸屋根やベランダに施工することがあります。
防水工事には、塗料を塗る方法やシートを貼る方法など、さまざまな工法があります。使用される防水材の種類によって耐用年数には差がありますが、通常は約10年ごとのメンテナンスが必要とされています。
防水工事の重要性
新築する際には必ず防水工事が行われます。しかし、時間の経過とともに紫外線や雨風などの影響で、防水効果が弱まってしまいます。そのため、防水効果を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。適切にメンテナンスをしなければ、コンクリート造の建物であっても雨漏りによる被害が生じるリスクがあります。
一度建物内部に雨水が浸入すると、構造の劣化が進み、建物の耐久性や耐震性が低下します。さらに、湿気が原因でカビが生じ、それが健康問題を引き起こす可能性もあります。
防水工事を行い、建物の防水性を維持することは、安全で健康的な生活を守ることにつながるのです。
防水工事を施工する場所
防水工事が特に重要な場所は、屋上やベランダ、外壁など、常に雨や風に直接晒されている場所です。これらの場所は防水機能が低下しやすいため、注意が必要です。
窓のサッシ周辺も防水工事を必要としている部分です。雨水だけでなく、結露による水たまりがサッシ周辺の壁に損害を与えることがあります。
屋上やベランダは、定期的に点検を行い、水たまりや汚れが見られる場合は、雨漏りが発生する前に防水工事を行うことがおすすめです。
防水工事の施工方法
防水工事には主に以下の4つの方法があります。
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
- FRP防水
これらの施工方法について、解説しましょう。
1.ウレタン防水
ウレタン防水は、液体のウレタン樹脂を塗布して防水層を作成する方法です。この工法は主に建物の屋上、住宅の陸屋根、ベランダなどの防水工事で広く採用されています。
ウレタン防水の大きなメリットは、液状であるため、継ぎ目がなく滑らかな仕上がりが可能です。形状が複雑な場所や、狭いスペースにも施工できる柔軟性があります。
防水層を均一に厚くする作業には高い技術が求められるため、施工する職人の技術力が求められる工法です。
2.シート防水
シート防水は、ゴムや塩化ビニール製のシートを使用して防水層を形成する方法です。広い範囲を効率よく施工できるため、特に屋上の防水工事に適しています。
耐熱性と紫外線耐性が高い点、そしてあらゆる下地材に適用可能であることが、シート防水の大きなメリットです。
ただし、シートを使った施工方法は、複雑な形状の場所への適用が難しい場合があります。また、機械固定を行う際には、作業中の振動や騒音に注意が必要がです。
3.アスファルト防水
アスファルト防水は、熱で溶かしたアスファルトを使用してシート状の防水材を固定し、防水層を築く工法です。この方法は防水性が非常に高く、ビルや商業施設の屋上、マンションの共用エリアなどで広く採用されています。
紫外線に対する耐性が強く、施工直後から高い防水効果が得られることが大きなメリットです。
ただし、アスファルト防水の施工中には煙や臭いが発生することがあるため、作業前には近隣の住民に説明し、理解を得ることが大切です。
4.FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製のシートにポリエステル樹脂を塗布して、防水層を形成する方法です。この技術は屋上駐車場や一般住宅の陸屋根、ベランダなどで採用され、近年では施工数が増えてきています。
FRP防水のメリットは、塗膜が迅速に硬化するため、工期が短縮される点と、高い強度の防水層が得られることです。
しかし、FRPシートは伸縮性に欠けるため、広い範囲での使用には不向きです。また、建物の揺れなどによる表面の亀裂が発生しやすく、そのためには定期的にトップコートの再塗装が必要となります。
防水工事の注意点
防水工事を進める際には、次の2つの点に注意が必要です。
- 補助金制度の確認
- 近隣住民への配慮
これらの点を事前に確認し対処することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
1.補助金制度の確認
防水工事を計画する際には、適用可能な補助金制度を確認することが大切です。自然災害による雨漏りの場合、特定の条件を満たせば補助金が支給されたり、火災保険が適用されることもあります。
多くの場合、これらの制度を利用するには事前に申請が必要です。そのため、工事を開始する前には自治体や保険会社に必ず確認してください。また、利用条件をクリアして制度を利用する際は、施工業者にも事前に情報を伝えることが必要です。
2.近隣住民への配慮
防水工事を行う際には、近隣住民への配慮が必要です。防水工事は屋外での作業が多く、作業に伴う騒音や振動が近隣に影響を与えることがあります。そのため、事前に周知しなければ、苦情などトラブルの原因になる可能性があります。
また、使用する防水材によっては施工中に独特の臭いが発生することもあり、不快と感じる人もいます。
施工業者は近隣住民への説明や挨拶、工事の詳細を記載した看板の設置など、様々な配慮を行うことが一般的です。
防水工事業者を選ぶ際のポイント
防水工事を担当するのは、防水専門業者、塗装業者、リフォーム業者などがあります。業者を選ぶ際は、以下のポイントを基準にして、複数の会社から見積もりを取り比較してください。
- 防水工事の豊富な施工経験
- 明確で詳細な見積もり
- 工事内容に関する丁寧な説明
- 充実したアフターサービスの提供
- 誠実で無理のない契約過程
防水工事は専門的な技術を要する作業であり、建物の安全を左右します。また、高額な費用がかかることが多いため、業者選びは慎重に進めることが大切です。
まとめ
この記事では、防水工事の種類や注意すること、業者の選び方について説明しました。
主な防水工法には「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」があり、それぞれに特徴があります。施工場所の条件に合った方法を、業者との相談して選びましょう。
防水工事を進める前には、補助金制度の利用可能性を確認し、近隣住民への配慮も忘れないことが大切です。信頼できる実績のある防水業者を選ぶことが、成功への鍵となります。