「シーリング工事って具体的に何?防水工事とどう異なるの?」
疑問に思う方も、決して少なくないでしょう。
建築物の保護に欠かせない防水工事と、それと密接に関連するシーリング工事についての解説します。
シーリング工事の導入を検討している方は、ぜひお役立てください。
シーリング工事の基礎知識
シーリング工事は、特に建物の外壁に適用されます。
外壁の仕上げ面にできる、隙間からの水漏れを防ぐためのものです。これは「目地」と称される部分にシーリング剤を注入し、雨水の建物内への侵入を防ぐことによって実現されます。水の侵入を防ぐ意味では「防水」といえますが、防水工事とは異なる工事です。
シーリング剤は建物本体と同じように、時間の経過とともに老朽化します。通常、施工後約5年が経過すると、シーリング剤には亀裂や剥がれが生じやすくなるため、定期的にチェックし、必要に応じたメンテナンスをしましょう。
防水工事とシーリング工事、その違いについて
防水工事とシーリング工事は、どちらも建物内への水漏れを防ぐ目的で施工されます。これらは広い意味では防水工事の一環と見なすことができますが、具体的な施工方法には違いがあります。
特に、防水工事は建物の屋上などの平坦な表面に、塩ビシートやアスファルト製の材料を用いて行われることが一般的です。
これらの工事が目指す建物の防水という目的は共通していますが、実際に防水工事を手掛ける業者の多くは、シーリング工事も施工しています。
シーリングとコーキングの違いは?
「コーキング」とは、シーリングとよく比較される用語です。コーキングとは「詰め物をする」という意味で、主に外壁や建材の亀裂を埋める作業をいいます。一方、シーリングは「封をする」という意味を持ち、資材の目地と呼ばれる隙間や継ぎ目を埋める作業を意味します。
シーリングとコーキングは、同じ意味合いで使用されるため、工事を業者に依頼する際に明確に区別する必要ありません。
シーリング工事のメリット
シーリング工事による主なメリットは、次の2点です。
- 防水性能の向上
- 建築物の保護と美観維持
防水機能を強化するシーリング工事によって、建物の安全性が増し、長期にわたり良好な状態を保つことができます。
防水性能の向上
シーリング工事の主なメリットの一つとして、防水効果の強化があります。シーリングされている部分を新しくすると、目地を介した水分や外部の空気の侵入を阻止し、建築物の漏水を防ぐことにつながります。
シーリング工事を外壁に適用することにより、水密性と気密性が向上し、その結果、防水性能が大幅に強化されます。
建築物の保護と美観維持
シーリング工事が提供するもう一つのメリットは、建物の保護とその美観の維持です。シーリング材は柔軟なゴムのような素材からできていて、地震や台風による振動を吸収します。その結果、建物の水漏れや老朽化を防ぐことができるのです。
さらに、目地の隙間をシーリングで満たせば外壁が統一され、建物全体の見た目を向上させる効果があります。
シーリング工事の主な方法
シーリング工事には主に以下の施工方法があります。
- 打ち替え方法
- 打ち増し方法
打ち替え方法においては、古くなったシーリング材を取り除いたあと、新たな材料で埋めます。この方法では旧材料の除去が必要になるため、作業期間が長くなることがあり、コストも増加するでしょう。しかし、隙間を確実に埋め尽くし、優れた防水効果を実現できます。
一方、打ち増し方法では、古いシーリング材を取り除くことなく、その上から新しい材料を塗布します。この方法では、目地の状態に応じて新しいシーリング材の剥離や耐久性の低下が起こる可能性がありますが、作業期間を短縮することが可能です。
シーリング材の種類
シーリング材は主に次の4つのカテゴリーに分けられます。
- シリコン系
- 変成シリコン系
- アクリル系
- ウレタン系
シーリング作業では、コーキングガンという専用の道具が用いられます。適切なノズルの選択や気泡の排除など、細部にわたる作業は外観に大きく影響します。そのため、施工の品質は職人の技術力によって左右されます。
シリコン系
シリコン系シーリング材は、広く利用されていて、低コストで高い耐水性を持つことが特徴です。
特に、ガラスとの相性がよく、窓ガラスやガラス製品の周辺部分のシーリングに多く使われています。また、高湿度である浴室やキッチンなどの水周りにも適しています。
しかし、シリコンは塗装の上から施工すると塗料がはがれやすいため、外壁の目地には不向きでなので注意が必要です。
変成シリコン系
変成シリコン系は、ウレタン樹脂を基にしたシーリング材で、特に耐熱性、耐水性、耐候性に優れた性質を持っています。塗装ができるため、外壁の目地充填に適していて、広く使用されています。
モルタルや金属との相性もよいため、サイディングや窓枠の周囲などさまざまな場所に使うことが可能です。ただし、ほかのシーリング材料とくらべてコストが高めになります。
アクリル系
アクリル系シーリング材は、水分が多い面にも接着しやすい水溶性の材料で、特にALC壁の目地や壁紙の基礎処理に適しています。
乾燥に時間がかかりますが、乾燥したあとは伸縮性を維持し、その上に塗装ができます。しかし、完全に硬化した後に収縮やクラックが発生することがあり、耐久性や耐天候性が比較的低いため、早めのメンテナンスが必要です。
ウレタン系
ウレタン系シーリング材は、耐久性にすぐれた特性を持っています。硬化後には高い弾力性と密着性を発揮し、これらの理由で外壁の目地充填や、ひび割れの補修など、多く使われています。
ウレタン材料は、ホコリや汚れが付着しやすいというデメリットがありますが、塗装が可能いうことが大きなメリットです。
ただし、耐候性に欠け、紫外線に弱いため、屋外使用時には塗装による追加の保護措置が求められます。
シーリング工事をおこなう際の注意点
シーリング工事を進めるにあたって、次のような注意点があります。
- 最適な気象条件のもとで施工を行う
- 実績のある専門業者に依頼する
施工結果に大きな影響を及ぼすため、シーリング作業は最も効果を発揮しやすい天候の日におこなうことが重要です。特に、高湿度の雨の日や寒冷の日にはシーリング材の効果が損なわれる可能性があるため、避けた方がよいです。作業の強行は材料の寿命縮小に繋がるため、事前に施工業者とスケジュールをしっかりと打ち合わせをしましょう。
また、施工する場所の特性に合わせて適切なシーリング材を選択しなければならないので、正確な判断と高度な技術が求められます。そのため、シーリング工事に関する豊富な経験を持つ業者に依頼することが大切です。
まとめ
シーリング工事は、建築物内への水漏れを防ぐことを目的としており、一般的に「防水工事」と同じですが、施工の詳細は異なります。この工事は主に建物の外壁の目地をシーリング材で埋めますが、その方法には打ち替えと打ち増しがあります。
利用されるシーリング材には、シリコン系、変成シリコン系、アクリル系、ウレタン系があり、施工する場所や目的に応じて最適な材料を選択することが重要です。よりよい工事をするためには、気候が良い日に施工することをおすすめします。
シーリング工事を含む防水工事のサービスを提供しており、長年の実績と経験があります。シーリング工事に関するご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。